「靴と革の日々」 by 靴屋の小人

靴屋の小人が一生懸命靴作りとレザクラをするお話です

パーツの裁断

パーツの裁断を行いました。

比較的柔らかめの革なので、革が伸びる大体の方向は確認したものの、あまり気にせずシボの状態を見ながらパーツ取りをしました。

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こちらはライニングです。明るめの色にしました。

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これらの2次元のパーツが3次元の曲面になって立ち上がって行くのは靴作りの面白さですね😊

 

型紙作り

2023年の靴始めです😊

 

昨年末にデザイン型が終わったので断ち型を作ります。

特別なことはありませんが、平面が立体になるための様々な仕掛けがあるのは、靴作りをされている方にはよくお分かりのことと思います。ここに何ミリ足すとか、ここはこの位置から線を引くとか。多分、それぞれの職人にはそれぞれの考え方があり、基本は同じなんでしょうが、微妙にさじ加減が違うのだと思います。僕なんかは取り敢えずはマスターの言われたとおり訳も分からないまま作業を進め、後になって、ああ、なるほどな、と感動するばかりで、でも、次の時も相変わらず、ああしてこうしてと教えてもらって、進歩のないまま時は過ぎて行くのでした😅

今回の新しい試みの一つとして、ブローグ(飾り穴)を付けます。綺麗に揃えて穴を開けるのは結構大変なんだろうな、と思ってたんですが、実はブローグ用の目打ちというものがあって、写真がそれなんですが、これを使うと一定の間隔と方向でブローグが開きます。優れものの工具です。

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アッパーの型紙が4種類、パーツは全部で5枚になります。(実はヒールのところにもう一つありました😅)

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ライニングも型紙が4枚、パーツが5枚です。

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次回は革を裁断し、漉いたりミシンを掛けたりです。いよいよです。😊

 

 

 

 

 

 

2022年、靴屋の小人の靴作り&レザクラ10大ニュース

去年もそう言っていましたが、今年も引き続きコロナ禍で世の中大変でした。結局のところ、実質半年程度の活動しか出来ず、昨年以上に靴作りははかどりませんでした。そんな中で10個ニュースを見つけ出すことが難しいほど低調な活動状況のご報告です😅

 

1 鍋つかみを作る

 

靴作りでは使えない部分を使って鍋つかみを作ってみました。

材料の関係上、少々窮屈なサイズとなりましたが、使用するには全く問題ありません。買った革は捨てることなく全て使い切ってしまいたいと思っています。

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2 足の遠隔採寸にトライする

 

LIGHTBULBの外林さんが運営されたクラウドファンディングで、足の遠隔採寸をやってみました。遠隔採寸という手法は手作り靴の世界を大きく変えるものになるかも知れません。そう思ってトライしてみました。それが僕の手で検証されるのはいつの事になるのかわかりませんが、そんな靴作りワールドの隅っこの住人として、とても興味を持って体験させて頂きました。

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3 サコッシュにはならないサコッシュを作る

 

携帯、財布、カード入れ、キーケース程度を入れて、近所にお買い物に行くことを想定してサコッシュを作りました。見た目はサコッシュなのですが、残念ながら紐の長さが短くて肩から斜め掛けが出来ず、残念ながらサコッシュとは言えない袋物が出来ました。背の低い女性ならば斜めがけが出来るかもしれませんが、女性が使うとすれば本体が少し大きめのサイズになるので、う〜ん、という感じです。経験値が上がりました。
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4 OSAKAアート&てづくりバザールで待望の作品に会う

 

9月に開催されたOSAKAアート&てづくりバザールvol.40で、以前より気になっていた革工房Broonieさんの作品についに会うことが出来ました。素敵なフォルムと優しい質感で作られた数々の作品で、特にりんごやケーキのリングケースは最高です。レザークラフトでありながらアートのテイストも強く、いつまでも眺めていられるひと時を過ごしました。

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5 一年ぶりにReiLeatherさんに会う

 

ReiさんがOSAKAアート&てづくりバザールvol.40に出店されるので、その前日から食事を一緒にしたり、boothでは仕事の邪魔をしたりなど、寸暇を惜しんで革談義を楽しませて頂きました。お話ししていて毎回思うのですが、レザークラフトについての知識と経験の豊富さや技術の高さもさることながら、レザクラに対する思いの強さに驚かされます。また大阪に来られるのを楽しみにしています。

 

6 TAKAさんの作るミニチュア靴に感動する

 

以前より気になって気になって仕方がなかった作家さんとその作品に、ついに会うことが出来ました。TAKAさんの作る作品は凄い!の一言に尽きる。大きさ(小ささ?)もさることながら、各パーツの仕立てや作り方が通常の靴とほとんど変わりません。その上、材料から道具まで全て自作。確かに、全長1cmほどのミニチュア靴の製作キットや道具が売られていたとしても、誰が作ることが出来るでしょう。

製作する時の苦労話とか素晴らしい作品を作るための工夫とか、色々と教えていただき、時間の経つのも忘れて大変興味深く伺うことが出来ました。

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7 パスケースの製作依頼を受ける

 

僕が押しつけたのではなく、たまたま僕のパスケースを見て自作だということを知って、相手から作ってくれと頼まれました。ついにプロデビューです、と言いたいところですが、プレゼントとして差し上げるのでプロとは言えませんね。でも、自分用ではないということで、いつになく気合が入ります。代金を頂いて作るとすればどんな気持ちで作るのか、いつかは味わってみたいものです。

 

 

8 アンディーウォーホルの靴作り

 

あまりにもネタが無いので、人の手を借りるに至りました。これはアンディーウォーホルの作品です。アンディ・ウォーホル・キョウト展で見つけました。木型をベースに作られています。靴作りに関係すると言えばそうかも知れません。この展覧会は今も開催中です。気になる方は是非見に行ってください。
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9 プレーンギブソンを作る

 

今年唯一の靴作品です。ほんと間に合って良かったです。今までで一番難しかったです。また、数々の失敗の塊でもあります。でも、とりあえずはなんとか履けています。どんな作品でも自作の靴には愛着が湧きます。
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10 来年に誓う

 

次作のデザインが終わりました。来年の力を借りて何とか10大ニュースにしないといけないくらい、サボりにサボった今年だったということが、今までにないニュースと言えなくもないです。ほんと色んなことがあった1年で、靴作りとレザクラについては何にもなかった1年でした。来年は頑張るぞ!と来年に誓う年の瀬です。

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今年一年、色々とお付き合い頂きありがとうございました。来年もまたよろしくお願いいたします😊

 

靴屋の小人

 

 

内羽根ストレートチップ〜デザイン〜

今年最後の靴作りです😊

今回は内羽根ストレートチップです。パンチドキャップトゥ(つま先の部分の切り返しに飾り穴(ブローグ)があるやつ)にしようと思っています。

底は革底で手縫いです。遂にここまで来ました。

最近、工房で靴作りをされる方が増えて来て、その中でも底を手縫いで作られる方が多いので、刺激を受けて僕も挑戦することにしました。内羽根ストチ革底と来れば、フォーマルの代名詞ですよね。よくぞここまで辿り着いたかと、自分自身を褒めてあげたいです(最初からここがスタート地点の人も多いのですが😅)

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一応こんな感じですが、これだけでは分かりませんよね。

実はここまで来るのに行ったり来たりで迷子になっていて、ずいぶん数時間を費やしたのですが、やっと何とか形になって来ました。

最近では工房のマスターが言っていることを多少は理解できるようになって来たので、1対1で付きっきりということもなく、いくつか基本的な指示をもらうと、そこからは自分で考えて作業を進められるようになりました。偉くなったものだ😊
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今年はここまで。来年はもう少しピッチを上げて頑張ろう!

 

プレーンギブソンの完成です😊

これからヒールを積んでいきます。

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まだヒールは付いてません。
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革のヒールを3枚と最後にゴムのヒール、合わせて4枚積み上げます。
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表面を処理してから底付け用のボンドを付けて、ずれないように接着します。一度付けると絶対に剥がれないので一発勝負です。ドキドキ。

これで半分。あと2枚。
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表面を処理する→ボンドを付ける→乾かす→温める→接着する→圧着する→表面を処理する→...
これを片足で4回(両足で8回)繰り返すのですが、結構時間がかかる工程です。

で、出来上がったのがこれです。
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これで靴の機能としては完成です。
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ここから最後のお化粧です。

グラインダーでヒールとコバを整えます。
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靴底用のインクで色を入れます。
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コバにロウを塗り、温めたコテでロウを薄く広げ、布を暖めて余分なロウを拭い取っていきます。
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中敷きを張って、後はきれいに磨いてあげて完成です。
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着手したのは4月。途中でコロナ蔓延とか体調不良とかでサボりまくった8ヶ月ですが、正味40時間位で完成しました。

今回は、それぞれの工程の関連性と、一つ一つの工程の重要性が、今までになく理解出来たような気がします。ここでこうすると後でえらい目に遭うとか😅

どんな些細な工程でも、全てに気を抜かず丁寧に仕上げることが、最終の仕上がりを左右することにつながるのですね。

学びの多い一足でした😊

 

 

底を付けます😊

底が付きました😊

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こんな感じです。マッケイはプロのミシンでガガガガッてやってもらいます😊
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ここにこれを貼り付けます。
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実は、足を入れてみると左右微妙に違っていまして。最初は分からなかったんですが、両足を入れて比べてみると、ん、ん、?って感じで、よく見ると右足の方が微妙に低い。2mm位かな。気にすると気になるが気にしないと気にならない、っていうレベルです😅

釣り込みの際に木型に固定する位置がズレたか、吊り込みの時の力加減か、革の伸びの性質か。紐を結んだ時どれくらい違和感があるか楽しみにしておきましょう。
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下地処理をしてから底用の強力ボンドを付けて貼り合わせるのですが、一旦付けると貼り直しは効かないので超緊張です。地味な作業の割には以外と難易度は高く、失敗出来ないドキドキ感があります。トゥの方からずれないようにゆっくりと貼っていきます。

底の方が大きいので多少の余裕はあるのですが、少しのズレがだんだん大きなズレになっていき、完全にはみ出してしまったらもう終わり。力Maxで引き剥がし、ボンドを綺麗に剥がして下地処理からやり直さなければなりません。なぜ知っているかって?以前作ったスニーカーで経験済みだからなんです😅

それからヤットコで圧着し

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無事張り合わせたのがこれです。

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だし縫いはプロにお任せして、その後にヒールを積んでコバを処理したら完成です😊

 

何だかんだで底作りです👞

3ヶ月ぶりにエンジンをかけました😊

 

何をどこまでやっていたのか、ほとんど忘れかけております😅

 

こんなところで終わっていました。

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今回は釘を抜いてボンドで貼り付ける所からです。

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うねうねになっているところはザックリと包丁で落としてから全体をグラインダーで削ってツライチに。

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中物にはコルクを使って。

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土踏まずのところにシャンク(土踏まず部分に入れれる部品で、踏まず芯とも言います)用の穴をホジホジ。シャンクは靴底の変形防止のために使うのですが、緩やかにわん曲しておりバネの力で歩くのを助けてくれる働きもします。

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シャンクを入れたらこんな感じ。ちなみにシャンクは一般的には金属製が多いですが、樹脂製とかもあり昔は木や革が使われていたそうです。

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今回は、雑誌記事のタイトル風にいうと「ビジネスシューズをオフでガンガン履く」というイメージで作っています。

なので本底はゴム。それもゴツい目の。

ウェルトを巻いてゴム底とマッケイで縫い付け、ゴツい本底を貼りヒールを積みます。

だんだんゴールに近づいてきました😊

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